私はなる程と聞いてゐます。ふと思ひ出した友人範多君より貰つたGuttie(ガッティ) ball の事を思ひ出しましたので、
「先日、昔範多さんが使つてゐたGuttie ball を貰ひまして、打つて見ましたが、變な音がしました、飛びませんね」
「それほんとうに飛ば無い。私嫌い。Guttie は冬堅くなる。私の木のクラブ二本も壞した。寒いの時、温い水に入れて熱くする。それよく飛ぶ」
「横屋のキヤデーは一日幾らしましたか」
「一日二十五銭。鳴尾四十銭」
「その當時一日ゴルフするのに費用は、どれ位あればよかつたのですか」
「皆晝食(ちゅうしょく)持ちます。辨當(べんとう)。一日九十六銭位要る」
「横屋では」
「それより少ない」
判じ物の様な會話であります。
「貴方いつ日本に來られましたか」
「一八七三年支那に來る」
「日本には」
「その時一度日本に來た。日本美しい國と思ふ。一八九八年に神戸に來る」
「ゴルフは英國で初められたのですか」
「私四十五の時、日本でゴルフ初めて遊ぶ」
「誰がその當時のロング ヒツターでしたか」
「勿論、私」
「どれ位飛びましたか」
「私、初め第一番飛ぶ。後でA.T.White來る、ドライビングのコンペチシヨンある。ホワイトの球低い低いの球、澤山のランある。私負けます。けれど私の球は高くキヤリーの球、ほんとうの球。これ違う」
ホワイトの球はトツプド球で、俺の球はちやんと正式に打つた球だ、負けはしたが球筋を見て呉れと云つてゐる所を察して、私はロビンソン氏はゴルフアーだと思ひました。
(後略)