
No.172
2008.3.5
榛(はしばみ)色という表現がある。
榛とはカバノキ科の落葉灌木で、春になると黄渇(おうかつ)色の実をつけるが、その黄渇色をいう。薄茶色ともちょっと違い、薄茶が透明化したような微妙な色合いを帯びているのである。
なぜ、ここで榛色を持ち出したのかというと、レイモンド・フロイドの瞳の色がそうだからである。
時は1976年、マスターズを制し、優勝インタビューのなかで、その瞳の色を問われて、フロイドが返したのが表題の「言葉」である。
英語ではヘーゼルカラーといい、榛をセイヨウヘーゼルと翻訳しているのだが、ある米国人ではない記者は、そのライトブラウンとは少し違う色を不思議に思い、質問したのであろう。
フロイドは76年のマスターズを、5番ウッド(クリーク)を駆使して、初日から独走し、17アンダーという、これまでの帝王ニクラスの持つコースレコードとタイの記録で、2位のベン・クレンショーを7打差ぶっちぎるという圧勝。
その優勝インタビューで不思議な瞳の色を聞かれた時、勝利の感激にうるんでいた瞳を、テレ隠しのジョークでフロイドは切り返したわけである。
ちなみに、この17アンダーは97年に、ご存知タイガー・ウッズが18アンダー(2位とは12打差)をマークするまでのコースレコードの記録であったから、当時、感激にむせんで、目を赤くしたのもよく分かる話ではないか。それをまたジョークで切り返すところが、プレイボーイといわれたフロイドの粋なところであった。
■レイモンド・フロイド(1942〜)
米国ノース・キャロライナ州生まれ。ノース・キャロライナ大学時代より強豪として知られた。テークバックからトップまでが変則的なスウィングながら、抜群のゴルフセンスで、メジャーも4勝。マスターズ(76年)、全米オープン(86年)、全米プロ2勝(69年、82年)。特にマスターズでは、それまでアマチュアのクラブとされていた5番ウッド(クリーク)を駆使して、コースレコードタイでぶっちぎりの優勝をしたものだから、一大クリーク・ブームを巻き起こし、アマチュアの間でクリークが売れに売れたものだ。残念ながら全英オープンに勝っていないため、グランドスラマーにはなっていないが、PGAツアーで22勝、シニアツアー(現チャンピオンズ・ツアー)で14勝。各国で9勝。89年にはゴルフ殿堂入りしている。
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