ゴルフの図書館

名手・達人の言葉

No.164

2008.1.9

あの小さな白球は、あなたが打つまでは動きません。しかし、打ったあとは、もうあなたはどうすることもできないのです。 ベーブ・ザハリハス

 ベーブ・ザハリハスのことは91回目で紹介したが、彼女ほど「女傑」と呼ぶにふさわしいアスリートはいないのではないだろうか。

 なにしろオリンピックの陸上競技、槍投げ・80メートルハードルで世界新の金メダル2個、走り高跳びで銀メダル1個。高校時代はバスケットで全米選抜。男子プロバスケットに入ったこともあるし、野球の大リーグで1イニングだが、投げたこともある。

 つまりはスポーツ万能で、「20世紀最高の女子アスリート」といわれた所以である。

 そんな彼女が1934年、ゴルフの世界に入り、7年間で31勝(全米女子オープン3勝を含む)したのもうなづける話。

 しかし、「ゴルフはミステリアス」だという、ゴルフを始めた一般のゴルファーと同じ感性を持ったのというのはおもしろいことである。

 ベーブのような天才アスリートでも一般ゴルファーと同じ感性を持ったからこそ、表題の「言葉」を著書『チャンピオンゴルフ シップ』の中で述べているのだ。

 彼女がやってきたどのスポーツも自分の“ちから”で、ねじ伏せてきたものであろう。自分が能動的に動いて、人より速かったり、強かったりする。

 しかし、ゴルフは止まっている球を打つのだから非常にやさしいはずなのに、難しい。打ったあとのボールを制御できない……。

 それまでのスポーツと違って、自分の意志が100パーセント反映されない不可思議さ……。

 打ったあとのボールは、いわば宿命論でしか説明できないもどかしさをベーブは感じていたはずである。

■ベーブ・ザハリハス(1911〜1956年)
女子プロゴルファーというより、稀代の女子アスリートとして知られる。高校時代より、スポーツの各分野において非凡な才能を発揮し始める。バスケット、水泳、ダイブ、ライフル、ボクシング、ソフトボール、テニス……etc.。陸上競技も始め、1932年ロスオリンピックでは槍投げと80mハードルで金メダル。ハイジャンプで銀メダル。その後、34年にゴルフも始め、現在のUSLPGAの母体をパティ・バーグらと創設。全米女子オープン3勝を含む31勝をあげている。ゴルフ殿堂入り。38年にプロレスラーのジョージ・ザハリハスと結婚。ベーブの名は当時のヒーロー、ベーブ・ルースの女性版ということの愛称。54年、AP通信社で20世紀最高の女性アスリートに選出された。しかし、前年にガンに倒れて手術。それが再発して、56年、42歳の若さで没。

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