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ワトソンが帝王ニクラスの跡を継いで、
新帝王の座についたのは、
82年、ペブルビーチGLで行われた
全米オープンに勝ったときであろう。
二クラスはワトソンが17番にいたとき、
同スコアであがってアテストしていた。
ワトソンはその名物17番ショートホールで、
右の深いラフに外した。
全米オープンのラフの深さは想像を絶する。
そのときもボールのライはワトソンの足首まで
すっぽり隠していて、
むろんボールなど見えるべくもない。
ピンまで10メートルほど。
誰もがボギー、
もしくはダブルボギーもあると予想した。
そのアプローチを打つ前に、
長年コンビを組み、家族同様といわれた
キャディのブルース・エドワーズ(04年死去)と
言葉をかわし、ワトソンは何かささやいた。
このささやいた言葉というのが、
冒頭のそれである。
そして打たれた球は宣言したとおり、
スルスルとカップへ向かい、入ってしまったのだ。
このバーディで二クラスを突き放し、
栄冠を手にしたといってもよい。
勝利後の記者インタビューで
「ブルースは無理せず、出そうといったのだが、
あのときは入る予感がした。本当に入ると信じたんだ」
と淡々と語った。
冷静沈着で、ホラなどとは無縁のワトソンが放った
渾身の一撃の言葉であった。
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