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井上誠一。
ゴルファーならばこの名前を一度ならずとも聞いたことがあるだろう。
そう、日本でのゴルフ設計家、第一人者である。
「未開発の山野の自然を可能な限り残して、美しいコースを造る」
が井上の設計哲学だった。
造成地にじっと佇み、自然の声に耳を傾けることが、
最初に井上のやることだった。
造成が始まると、度々訪れて、双眼鏡をのぞいて、
図面上にない樹木があったりすると、
現場作業責任者に「切りなさるなよ」と釘をさすのが常だった。
またオーナーの一存で設計にない人工物など配すると、
取り除かさせた。
それでもいうことをきかないと、
二度とそのコースへは足を踏み入れなかったという。
自然の景観をこわしたくなかったのである。
どんなに自然を守るといっても、
ゴルフコースは大地を刻む行為なのだから、
人工物などもってのほか、というわけである。
日本独自の造成観も持っていた。
例にとると、日本は年間降雨量1000ミリの雨の多い国。
だから、池とグリーンを離してなお美しい景観を現出するには、
どうしたらいいかという方法をあみだしてもいる。
日本の自然の美にこだわった人だった。
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