ゴルフの図書館
名手・達人の言葉
No.58
2005.11.02
ゴルフに逆転ホームランはない。ゲームの勝敗はほとんどが自滅によって決する。

ベーブ・ルース

今回の登場はゴルファーではなく、
あの米国野球界伝説のナンバーワン・ヒーロー、ベーブ・ルースである。
天性のホームランバッターであった彼は、ゴルフでも豪快な飛ばし屋であった。
そのルースが野球とゴルフの違いをみごとに言い当てている言葉がこれだ。

次のエピソードからも、ルースがなぜこの言葉を遺したのかがうかがい知れる。

安打製造機といわれたタイ・カップが、ルースにゴルフでの挑戦状を叩きつけた。
腕前はルースが断然上。
ほとんど70台でまわるシングルプレーヤーのルースに対して、
カップは80台であった。

プレースタイルも野球と同じで、
豪快にかっ飛ばすルースと小技が得意なカップと好対照。
試合形式は3試合18ホールのマッチプレーで、2試合をとれば勝ち。

マスコミはやんやと、はやしたてた。
スコアでは敵わないカップがとった作戦は「心理戦」であった。
野球でもカップはルースを野次ってカッカさせ、
ホームランボールを凡打にしたことは数多くあったのだ。

「グリーンで先に長いパットを決めればルースは動揺する。
ドライバーでは張り合わず、2打目を先に乗せる」。

この作戦で1試合目、カップの勝ち。
しかし、2試合目は挑発に乗らずルースがとる。

いよいよ3試合目。
カップは2試合目まで難しいショートパットは、すべてコンシード(OK)にしていた。

ところが3試合目ではどんなに短いパットでもOKを出さなかったカップに、
ルースは怒り狂って自滅してしまったのである。
カップは友人のマッチの鬼、ウォルター・ヘーゲンからこのアドバイスを受けていた。

結果、腕前では劣るカップの圧勝に終わったのである。
「ルースほど飾り気のない素直な男はいなかった」。

だからこそスーパーヒーローになれたのであるが、
この試合からでも冒頭のルースの言葉が漏れ聞こえてきそうではないか。
(エピソードはタイ・カップの自伝『野球王タイ・カップ』から引用)。



■ベーブ・ルース(1895〜1948年)
本名ジョージ・ハーマン・ルース。ベーブはベービーからきた愛称。貧困家庭に生まれ、子供の頃は非行に走り矯正学校に入れられた。そこで生涯の恩人となる神父マシアスに出会い野球を教えられる。マイナーリーグのオリオールズからレッドソックスへ移籍。そこで最初、投手として芽が出て、次第に才能は長距離打者として開花していく。ヤンキースに移籍してから驚異的にホームラン生産し、背番号の3番は永久欠番。1シーズン初めて50本を打ち、27年には60ホーマーでを、61年にロジャー・マリスに抜かれるまで34年間記録保持者だった。最初に殿堂入りした5人の一人。ホームランを野球の花にし、国民的ヒーローであった。ゴルフも大好きでシングル。飛ばし屋であった。53歳で没。



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