ゴルフの図書館
ザ・ゴルフフォーラム
2004.12.02
スウィングとクラブの関係----質疑応答編
インパクトで最大ヘッドスピードを得るために考えること
■ゲストスピーカー
竹林隆光氏(クラブ設計家)
於:ゴルフダイジェスト社 4階会議室

■プロフィール
竹林隆光 (たけばやし・たかみつ)
世界初の中空アイアンを作ったことでも知られ、フォーティーンブランドのオリジナルモデルを製作するとともに、フリーのクラブ設計家として数々のヒット作を世に出している。その感性と理論の融合した作品には定評がある。

 このゴルフフォーラム第1部では、なぜクラブヘッドが大きくなってきたか、というテーマで『作り手側の背景』をクラブ設計家の竹林隆光氏が講演しました。それを受けての第2部では、『使い手側』の最新クラブとスウィングの相関関係をプロゴルファー&インストラクターの永井延宏氏が講演。どういうスウィングなら進化した現代クラブで飛ばせるか、について述べられました。

 今回の第3部では、講演会終了後に設けられた質疑応答を紹介します。答えるのは竹林隆光氏。予想通り、『どういうクラブなら今よりもっと飛ばせるのか』に質問が集中しました。ゴルファーなら誰しも知りたい、ことです。以下は、その抜粋です。竹林隆光氏、永井延宏氏の講演バックナンバーと合わせてお読みいただくと、より一層理解しやすいと思います。


●質疑応答●

Q1:この数年間で飛距離は伸びているのか。

A1(竹林氏。以下同):明らかに飛距離は伸びていると思います。クラブの影響もありますが、それ以上にボールの影響が大きいと思います。クラブだけではちょっと判断できません。

Q2:シャフトのしなりについて。

A2:力学的にいいますとインパクトの瞬間はヘッドが先行する方向でしなっています。今のクラブはヘッドが先行する方向にシャフトがしならないと、球はまっすぐに飛ばない構造になっているんです。
 もし、ヘッドが遅れる方向からしなってまっすぐになると、この部分が加速なんです。まっすぐからヘッドが先行する部分は減速になりますので、力学的にいいますと減速しているところで球を打っているので、将来的に加速する、あるいはヘッドスピード最大時で打てればもっと飛ぶはずですが、それができない。

 なぜ前にたわむのかというと重心が後ろにあるからです。ひとつ考えられるのは、もしもヘッドが正面から見てシャフトの延長線上にあるようなウッドが作れれば、まっすぐの状態でインパクトできるのでより飛ぶ可能性はあります。

 シャフトは軟らかいのが飛ぶのか、硬いのが飛ぶのかという問題は、現状ではゴルファーは、その硬さに合わせてスウィングするので、たわみに合わせられる人は軟らかいほうがスピードは出せます。たわみに合わせられない人はヘッドスピードがインパクトで最大にならず、どこか違うところで出てしまう。インパクトで最大にできるたわみ量と自分のスウィングテンポが合ったときに飛ばすことができます。

 極端な話が、ヘッドスピードが28メートル毎秒の女性はL、R、S、Xシャフトを全部同じに打ちます。LでもXでもたわまないから、重さだけ揃えておけば結果は一緒なんです。
 82歳ぐらいのシニアの方でグニャグニャのシャフトを勧められてショップから買ってきた人がいましたが、打ってもらうと全然たわみが合わないのでミート率が極端に下がるんです。  そういう方は、逆にXシャフトを打つとミート率は上がるんです。
 カラオケで音楽と歌とまったくずれている人がいますが、自分のやっていることと思っていることが全然違う。感覚がずれてくるとシャフトのたわみと自分のスウィングが合わなくなってきますので、それならむしろ、たわまないほうがいい。

Q3:シャフトの長さについて。

A3:長さについては、間違いなく長いほうが飛ぶと思います。振り切れる能力がどこまであるかですが、47インチまででしたらほとんどのゴルファーは飛距離が伸びると思います。  短いほうがシゃープに振れて距離が伸びるという話をよく耳にするんですが、短くしてシャープに振れるというのは自分の感覚であって、ヘッドスピードだけをとれば長いほうが絶対にスピードは出ます。
 今、ゴルフ業界全体が短い方向に動いていますが、なぜ短い方向に動くかといえば販売の現場を見れば一目瞭然なんです。
 今は簡単にヘッドスピード、ボールの初速を測定する機械があり、ヘッドが大きく、反発係数の高いクラブを打つとヘッドスピードは必ず上がります。
 ボールの初速が上がったときに、これで短いとミート率がさらに上がってよく飛びますよ、と。こういう説明をするんです。販売方法として一番楽なんです。

 ゴルファーは潜在的に長いものは難しいという気持ちをもっていて、ミート率が落ちると元も子もないという思いが常にあります。反発係数の規制とかでこれからさらに飛距離を伸ばしたいというと、また長さの競争になると思います。

Q4:シャフトの適正長さについて。

A4:パーシモンヘッド、43インチのスチールシャフトで気持ちよく振れていたゴルファーはどのくらいのクラブが振りやすいかといいますと、クラブは軽すぎても重すぎても振りにくいんです。
 ちょうどいい重さというのがあるんですが、43インチを気持ちよく振れた人というのは、クラブ全体の慣性モーメントで計算しますと、46インチのカーボンシャフトに相当するんです。43インチのスチールを気持ちよく振れた人が一番気持ちよく振れるのは、46インチのカーボンシャフトなんです。

 ところが43インチのスチールが振れなかったという人もいっぱいいて、そういう人はもうちょっと短いほうがいいんです。

 今、ゴルファーに合うクラブというのは44〜46インチの間にほとんどの人が入ります。もう少し能力があれば47インチまでは飛ぶかなと。

 軽すぎても重すぎてもなぜダメかというと、ゴルフスウィングはインパクトでスピードを最大にするということがすごく重要なんです。
 軽すぎるとインパクト後、重すぎるとインパクト前で出やすい傾向があるので、自分に合ったところというのはかなり狭いエリアでしかないんです。

 もし遠くに飛ばしたいのでしたら、少しでも長いクラブを手にすることです。ゴルフダイジェストさんが昨年のクラブチャンピオンの使用クラブをアンケートしたのを見せてもらったんですが、ほとんどの人が44〜45インチの間にいるのかなと私は思っていたんですが、46とか46.5インチという人もけっこういらっしゃったんです。
 データを見るとお年寄りのチャンピオンはちゃんと長いクラブを使い、若いチャンピオンは短いクラブを使う傾向がはっきり出ています。

Q5:振り切れるという感覚について。

A5:クラブ屋としてはインパクトでヘッドスピードを最大にできる、と解釈しています。ヘッドスピードが上がらなくなる点が出てくるんですが、その上がらなくなったのが振り切れないと。

[了]

(ザ・ゴルフフォーラムは月2回更新予定です)


ザ・ゴルフフォーラム(The Golf Forum)とは:
日本のゴルフの健全な発達のために、ゴルフ業界に携わる人たちが、ゴルフ文化全般について共に学び、自由に意見や情報を交換できる“場”を作ろう----。そんな趣旨で、東京成徳大学市村操一教授、ゴルフ史研究家の藤岡三樹臣氏、ゴルフジャーナリストの杉山通敬氏が運営委員となり、ゴルフダイジェスト社から場所と人材の提供を受け、ゴルフ百年に当たる2001年2月に発足。以来、様々なジャンルのゲストスピーカーを招き、年に4〜5回の講演&勉強会を続けている。当コーナーでは、それらを再構成して紹介。

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