ゴルフの図書館
ザ・ゴルフフォーラム
2004.11.17
スウィングはクラブにつれ(3)
ヘッドスピード43メートル毎秒でも280ヤード飛ばせる!
■ゲストスピーカー
永井延宏氏(プロゴルファー/インストラクター)
於:ゴルフダイジェスト社 4階会議室
■プロフィール
永井延宏 (ながい・のぶひろ)
大学進学後、ゴルフ留学のため渡米。ミニツアーに参戦しながら、米国最先端のティーチング理論を学ぶ。レッスンだけではなく、スウィング解析にも定評があり、クラブへの造詣が深い。最先端スウィングの秘密をアマチュアに還元するために、クラブの機能や力学、科学から古武術まで広く研究。ツアープロ桑原克典のコーチでもある。

注:このゴルフフォーラム第1部では、なぜクラブヘッドが大きくなってきたか、というテーマで『作り手側の背景』をクラブ設計家の竹林隆光氏が講演=バックナンバー参照。それを受けての第2部では、『使い手側』の最新クラブとスウィングの関係を永井延宏氏が講演しています。今回はその3回目。

 最後にどうしたら飛ばせるかについてお話します。
 飛ばすには体力が必要だから腕立て伏せをしたほうがいいとか、もう少し肩の捻転を深くしたほうがいいからストレッチをやってみようとか、いろんな方法があると思いますが、力学的にみると方法は明らかです。

 一流選手と超一流選手の差は力学的な方向に沿った技術を持っている、もしくはそれが自分になかったら補うような方向に努力するかどうか、です。  分かりやすい例でいうと、ジャンボ尾崎選手はメタルが登場したときにいち早く取り入れて、高いティアップでアッパーブローに打つという技術をもう10何年トライし続けています。
 かつてほどは飛ばなくなったといわれますが、年齢的なことを考えれば非常に飛ぶわけで、それは力学的な方向で、飛ぶ努力をした結果だと思います。アニカ・ソレンタムもやはりアッパーブローのスウィングで飛ばしています。ヘッドスピードの割りには軽く振っているように見えますが、よく飛びます。

 ベン・ホーガンの本を何年か前に読んだとき、ホーガンのコメントとして「私はあるときにスウィングにおける力学的ないくつかの事例がはっきり認識できた。それが分かってからは自分のスウィングに絶対の自信が持てるようになった。今までは、明日はコースに出ると当たらないんじゃないかとか、次の試合はどうだろうという不安があったが、それが分かってからはまったく不安はない。今はコースに出れば自分の思うようなプレーができるし、きっとそうなると信じている」とありました。

 この力学的事例というのは、いくつもないと本の中に書いてありました。さすが超一流の言葉だと思いました。

イメージ写真1

一般男子アマチュアでも280ヤード可能にするには、アッパーブロースウィングで打ち出し角度20度、スピン量1000回転。それができるような自分に合ったクラブ選びが大切だ

 ボールのスピン量を減らすことと、ボールを高く打ち出すこと。この二つが飛ばしにつながります。

 ヘッドスピード43メートル毎秒でも、打ち出し角度が20度、1000回転で飛ばすと280ヤード飛ぶことが科学的に証明されています。
 技術的に、またクラブのことも含めて打ち出し角度20度で1000回転は、そう簡単に実現できるものではありませんが、私はアッパーブローの方向でアマチュアの方も含めて指導していきたいと思っています。

 ところで、打ち方にはアッパーブロー、ダウンブロー、レベルブローがありますが、打ち出し角度20度を達成することをイメージして考察してみましょう。

*ダウンブロー=ヘッドが下向きに2〜4度くらいで下降軌道に入ってくると、打ち出し角度20度にするには、単純にいってドライバーのロフトは20度以上必要になります。これではロフトが働いてスピンがかかりますから、打ち出しの20度は達成できたとしても1000回転は達成できません。

*レベルブロー=これはヘッドが地面に対して0度で入ってくる想定ですが、やはり20度ぐらいのロフトは必要になります。またこの動きは、ドライバーの動いていく方向とボールが飛び出す方向にズレが生じますから、飛ばすことにかけてはロスになるし、ボールにバックスピンをかける要因になります。打ち出し角度は達成できてもスピン量でダメだということになります。

 するとやはりアッパーブローでティアップを高くするとかしてヘッドを20度の角度に振り抜いていくことができれば、ロフト0度のドライバーが使えます。するとスピンが生じないで打ち出し角度20度、スピン量1000回転が達成できるのは唯一アッパーブローということになります。
 20度に打ち出せるかどうかはさておき、そういった方向で努力すれば可能性があるということに夢を感じて頂ければいいかなと思います。

 中にはアッパーブローに打つのは難しいから、やはりクラブは上から入れたほうがいいという意見もあります。しかし、データで見るとドライバーのスウィングは明らかにアッパーのほうが優位性が高いわけです。
 ヘッドスピード43メートルというと、ここに出席の多くの方が達成できると思いますが、それで280ヤード飛ばせるという話には夢があります。難しいから上から叩くというのでは、その可能性がなくなります。ボールが飛ぶということはゴルフを長く楽しめることですから、これは私の持論ですが、そのためにもみなさん、アッパーで飛ばす方向で努力して頂きたいと思います。

 最後にタイガー・ウッズについて、ちょっと古いデータですが98年の米国ゴルフダイジェスト誌によると、タイガーのスピン量は2200回転とすごく少ないのです。ミズノさんの話では米国のツアープロは2000回転以上あると、これでは多いということで、ドライバーのスペックを変えたり、打ち方を変えて調節するということでした。

 タイガーの打ち出し角度は10〜12度でアマチュアは12度以上。そして同じ12度でも決定的に違うのはスピン量です。アマの平均は4000回転ですから米ツアープロの2倍。これはヘッドスピードの差ではありません。アマのほうがヘッドスピードは低いのにスピン量が多いというその原因は、ヘッドの入射角度の違いなんです。ヘッドが進んでいく方向とボールが打ち出される方向が揃っているかズレているかの違いです。

 自分のタイミングとか体力に合ったドライバー選びをして、打ち出し角度を高くスピン量を少ない状態にすれば、まだまだ飛ばせるし、いつまでもゴルフが楽しめるのではないかと思います。


■次回は、講演の最後で、クラブとスウィングの関係をクラブ設計家・竹林隆光氏が質疑応答に答えた部分を収録いたします。乞うご期待。

(ザ・ゴルフフォーラムは月2回更新予定です)


ザ・ゴルフフォーラム(The Golf Forum)とは:
日本のゴルフの健全な発達のために、ゴルフ業界に携わる人たちが、ゴルフ文化全般について共に学び、自由に意見や情報を交換できる“場”を作ろう----。そんな趣旨で、東京成徳大学市村操一教授、ゴルフ史研究家の藤岡三樹臣氏、ゴルフジャーナリストの杉山通敬氏が運営委員となり、ゴルフダイジェスト社から場所と人材の提供を受け、ゴルフ百年に当たる2001年2月に発足。以来、様々なジャンルのゲストスピーカーを招き、年に4〜5回の講演&勉強会を続けている。当コーナーでは、それらを再構成して紹介。

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