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| 2004.09.01 |
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■ゲストスピーカー 竹林隆光氏(フォーティーン代表/クラブ設計家)
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■プロフィール
竹林隆光 (たけばやし・たかみつ)フォーティーンブランドのオリジナルモデルを製作するとともに、フリーのクラブ設計家として数々のヒット作を世に出している。世界初の中空アイアンを作ったことでも知られ、感性と理論の融合した作品には定評がある。 |
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ドライバーのヘッド体積がどんどん大きくなっているんですが、どこまで大きくなるのかという疑問が最近多いので、これについて考察してみたいと思います。
それと同時に、ゴルフクラブはドライバーだけでなく進化していますから、どのように進化してきたかについてもお話させて頂きます。
まず、皆さんが一番興味を持っているのは、ドライバーがどこまで大きくなるかだと思います。
ゴルフクラブの作り手としては、ひたすら性能がよくなる方向でクラブを作りたいのが本音ですが、ルールにそったものでなくてはいけない。ルールから外れてはいけないのです。まず、これが大事。
次に一番大事なことは、性能がいかにしたら良くなるか。つまり、性能の向上を求めることです。
ところが性能を良くするといっても、常にメーカーは性能を最大限に良くしようとしています。おそらく今出ているクラブは現状では最高のレベルにあると思います。
それをさらに良くするのは、「新素材」です。
新素材が出てくると、新しい性能を追求することが可能になります。それに、新素材を使いこなすための製造技術の進化、そして、新しい製造技術を生かすための設計技術も必要になります。つまり、性能を良くするには素材と製造技術、設計技術の三拍子が揃わないといけないわけです。
たとえば、チタンドライバーのヘッド体積は2002年モデルで、360ccとなっていますが、その4年前の1998年に360ccのクラブを造ったら、ゴルファーは喜んで、クラブはいっぱい売れたかというと、実は1998年には360ccのクラブは造れませんでした。
私どもの会社で1996年に310ccのドライバーを造ろうとして、チタンヘッドを作るメーカーさんに交渉したところ、国内3社とも出来ないと断られ、台湾の2社、米国の2社でもそんなものできるはずがないと断られ、それぞれなぜ出来ないかという分厚いレポートを出してくれました。
ところがその当時、三井造船がチタンを作っていて、同社ではできないと思うが協力しようと言われて、1年後に310ccのドライバーができました。それを発売したところ国内外のメーカーが、今度は出来ますといってきた。では、出来ないといった以前のレポートとはなんだったのかと聞きますと、あの時は実は何もやっていなかったと。
そんなことがありました。つまり技術の進歩がないと新しいクラブはできないわけです。
ヘッドがどのくらい大きくなっているかといいますと、平均値で98年263cc、99年286cc、2000年293cc、01年314cc、02年360ccと毎年少しずつ大きくなって、年間でも変化し、2002年秋には380ccに限りなく近づきました。
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なぜヘッドが大きくなるかですが、大きいほうが当たりそうな気がするというのがゴルファーとしての感覚ですが、大きくなっていくにはそれなりの力学的裏付けがあります。 ヘッドの慣性モーメントをみてみますと、1998年=2950、1999年=3079、2000年=3125、2001年=3301、2002年=3531。
こちらも毎年確実に数字が大きくなっています。 |
| 年々大型化するドライバーだが、おのずと限界値があると竹林氏 |
いきなり本音をいいますと、ヘッドが大きくなってきた理由は、慣性モーメントをいかに大きくするかという開発を、メーカーがやってきたからです。
ヘッドの慣性モーメントを大きくするために開発していたら、ヘッドは大きくならざるをえなかったのです。
慣性モーメントに、どういう意味があるかを確認しておきましょう。
ボールとヘッドがぶつかります。ジャストミートするとまっすぐに跳ね返ります。しかし、トウ側に当たるとクラブは開きます。ヒール側に当たると閉じます。同じようなことが360度方向に働いていて、ボールがフェースの下側に当たった場合は下向きにねじられ、上に当たった場合は上向きにねじれます。
ヘッドの慣性モーメントが大きいということは、ジャストミートしなかった時、つまりミスヒットした時、ヘッドの向きがねじられる量が小さいということです。
ねじられる量が小さいとボールの曲がりは小さくなります。ヘッドの慣性モーメントが大きいということは、ボールの曲がりが小さいということなのです。
慣性モーメントが大きくなるとボールの曲がりはどのくらい小さくなるかについてですが、まず概要だけ説明します。
パーシモンの慣性モーメント(注:ヘッド左右)は約1700で、380ccクラスのチタンでは3500です。パーシモンでスウィートスポットを20ミリはずすと28m曲がります。これがメタルウッドで打つと、慣性モーメントが大きくなっていますから曲がりは小さくなって18m。380ccクラスのチタンでは10mしか曲がらない。パーシモンのときに28m曲がっていたものが、大型チタンでは10mしか曲がらない。曲がりはほぼ3分の1になってしまった。
20年前のゴルフ場では、よく隣のホールまで球が飛んでいきました。最近では隣のホールからゴメンナサイは、シャンクでもしない限りほとんどありません。昔のクラブはボールがものすごくよく曲がったからです。余談ですが、最近のボールはそれ自体の曲がりも小さくなっていますから、クラブでも曲がらずボールでも曲がらず、それだけ隣のホールまで飛んでいくことがなくなったのだと思います。
パーシモンからメタルに移行したとき、慣性モーメントの効果が大きくはっきりと表れ、ボールは以前よりはるかに曲がらなくなりました。
ではこれから先、クラブをもっと進化させたらさらにボールは曲がらなくなるのかというと、効果がありそうなのは、慣性モーメントが4000までで、その先は慣性モーメントを大きくしてもメリットは何もないんです。
ということは、慣性モーメントの競争は事実2002年でほぼ終わってしまっているんです。つまりヘッドはもうこれ以上大きくする必要がないわけです。2002年の平均が春で360cc、秋で380cc。400ccも出ていますが、このあたりまでで、それより先は作っても力学的なメリットはありません。
パーシモンからメタルになったときに「クラブの主流はパーシモンで、今メタルを使っているけどまたパーシモンへ戻りますよね」という話がすごく多かったんですが、それはありえないということがわかると思います。
せっかく曲がらないクラブを手にしたのに、曲がるクラブに戻るわけがありません。
次のステップとしてチタンが出てきたときに「プロはチタンを使いませんよね、パーシモンに戻りますよね」あるいは「プロはメタルで、チタンは年寄り向けのクラブだからプロは使いませんよね」という話がたくさんありました。これも絶対にあり得ないわけで、曲がりの小さいクラブのほうがプロだっていいに決まっているんです。(つづく)
(次回は、プロがチタンを使わなかった理由、使いだした理由について、です。乞うご期待。)

ザ・ゴルフフォーラム(The Golf Forum)とは: 日本のゴルフの健全な発達のために、ゴルフ業界に携わる人たちが、ゴルフ文化全般について共に学び、自由に意見や情報を交換できる“場”を作ろう----。そんな趣旨で、東京成徳大学市村操一教授、ゴルフ史研究家の藤岡三樹臣氏、ゴルフジャーナリストの杉山通敬氏が運営委員となり、ゴルフダイジェスト社から場所と人材の提供を受け、ゴルフ百年に当たる2001年2月に発足。以来、様々なジャンルのゲストスピーカーを招き、年に4〜5回の講演&勉強会を続けている。当コーナーでは、それらを再構成して紹介。
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