
2007.11.19
組織と個人の関係を深く追求し、社会の中で力強く生き抜く人間を描いて
数々の名作を残した作家・城山三郎氏が亡くなって早8か月。
「経済小説」ジャンルの先駆者として多くのファンを持つ城山氏だけに、追悼出版が相次いでいるが、「ゴルフダイジェスト新書」から発刊された「城山三郎 ゴルフの時間」は、城山氏本人の人柄や考え方、想いなどが分かる書籍として注目され、新聞、雑誌等で紹介されている。
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この書籍には、城山氏が遺したゴルフに関係する文章やインタビュー、対談の模様などで構成されているが、その中では、城山氏自身のスウィング評や技術論などは出てこない。
城山氏はもともと、重度の不眠症に苦しんでいたときに医者に勧められてしぶしぶゴルフを始めている。
そんな経緯もあってかなきか、プレーにおいてはスコアは二の次。城山氏にとっての「ゴルフの時間」とは、人との出会いと交わりを愉しむ、至福の時間であったという。
書籍には、城山氏が「至福の時間」を共にした文人や政・財界人、プロゴルファーまでが数多く登場する。
その錚々たる顔ぶれには改めて驚かされるが、氏が彼らと過ごしていたのは、共に社会や組織から離れてゴルフで交わり、親しむ「無所属の時間」だ。
石原慎太郎や丹羽文雄、小林秀雄ら文壇メンバーとのゴルフ、大平正芳、中曽根康弘、宮沢喜一ら歴代総理とのゴルフ、そして本田宗一郎をはじめとする財界の重鎮たちとのゴルフ……。
どんなに社会的地位が高く、名声を得た人でも、ゴルフを共にする中では、同じゴルファーであり、一人の人間。城山氏と彼らとの「交わり」は、それぞれの人柄が垣間見えてとても興味深い。
「ゴルフ交流を仕事に活かそうと意識したことはない」と語っていた城山氏だが、作品で読者が圧倒されるほどに人間の内面を見事に描き出す視点は、こうした人々と「交わる」中から生まれたといっても過言ではないだろう。
城山氏は、そんな生き方から、世の人々に「ゴルフや読書など『無所属の時間』を持ちながら、“骨太の人生”を送って欲しい」とメッセージを贈っている。
城山ファンだけでなく、激動の時代を生きる我々にとって、「人間とは?」「人生とは?」を教えてくれる思いさえする一冊だ。
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