
2007.10.1
去る3月22日、作家・城山三郎氏が亡くなった。
城山氏は、社会に影響力のあった実在の人物をモデルにした
ノンフィクション風の小説を多く著し、
いわゆる「経済小説」というジャンルの先駆者として
数々の名作を世に送り出した。
そんな中、創刊1周年を迎えた「ゴルフダイジェスト新書」から
「城山三郎 ゴルフの時間」が追悼出版された。
ゴルフと城山氏。どのような結びつきがあったのだろうか。
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城山氏は、昭和30年代はじめから執筆活動を行っていて、同34年(1959年)に「総会屋錦城」で直木賞を受賞。作家として大きく注目された。
そして、同38年に勤めていた愛知学芸大を辞し、著作活動に専念したが、その数年後に重度の不眠症にかかってしまう。
実は、城山氏がゴルフを始めたのは、その治療のために医師から勧められたからだ。
これが見事に奏功する。ラウンドにでかけたその夜は、疲れ切ってぐっすり。ラウンドをしている間は仕事のことなど考えなくてもいいから、気分転換になり、精神的にも病むことがなくなった。
ゴルフを続けていくと、次第に健康的な生活が送れるようになったのだ。
それまで「ゴルフの悪口ばかり言っていた」という氏も、やがて「ゴルフが趣味」と変わっていくことになる。
本書では、そんな城山氏による雑誌・書籍に掲載されたエッセイや、インタビュー・対談の模様など、ゴルフについて書き遺したものが、単行本では未発表のものも含めて多数、収録されている。
その中には、城山氏が「私はゴルフで命拾いをしたようなもの」と語るなど、ゴルフに出会えた喜びと、ゴルフそのものを楽しむ姿勢、そして、ゴルフを通して親交を深めた人々との交流の模様が描かれている。
城山氏は、ハイスコアや完璧なスウィングを目指したりしなかった。プレーを愉しみ、人との交わりを愉しむ、自然体のゴルフだ。
以前より親交の深かった石原慎太郎をはじめ丹羽文雄、小林秀雄ら文壇メンバーとのゴルフ、大平正芳、宮沢喜一、中曽根康弘ら歴代総理とのゴルフ、そして本田宗一郎をはじめとする財界の重鎮たちとのゴルフでも、実に自然体で接している。
本書にその内容が紹介されているが、人々の素顔が垣間見えて興味深い。
「人はそれぞれ、自分の属する組織や群れから離れ『無所属の時間』を持つのがいい」と常々力説していた城山氏。「ゴルフはその方法として最適」だとも語っている。
ゴルフを通して人とめぐり逢い、深く交わる至福の時。それこそがゴルフ。城山氏の言葉を通して、改めてゴルフの素晴らしさが実感できる一冊だ。
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