ゴルフの図書館
BOOKS 19番ホール
2007.5.11

発見!


『芯に当たっちゃうゴルフ!』


 ある日、大学時代の後輩から電話がかかってきた。
「いいレッスン書を見つけました!」
 根暗気味の後輩が、今日はやけに明るく、声を弾ませている。よほど嬉しい発見があったのだろう。俺も興味を覚え、
「何ていう本だい?」
 と尋ねると、彼は一層、声を高調させて答えた。
「江連忠プロの『芯に当たっちゃうゴルフ』です!」


『芯に当たっちゃうゴルフ!』

江連忠
●B6判・並製・本文192頁
●1575円(税込)
●ゴルフダイジェスト社刊




 重ねて俺は聞いた。
「で、どんなところがいいの?」

「練習やプレー中に、ふっと感じる素朴なゴルフの疑問とか悩みってありますよね? 例えば、スウィングは体をどれくらいねじればいいのか、とか、トップの位置はどこにすればいいのか、フィニッシュを大きくとるにはどうすればいいのか、バンカーはどうしてもフェースを開かなければいけないのか……」

「うん、あるよ。いーっぱいある」
 素朴な話がいつまでも続きそうなので、僕は途中で口を挟んだ。後輩は陽気な様子を変えずに続ける。

『芯に当たっちゃうゴルフ』は、それらの疑問や悩みを丁寧な回答と、練習用のドリルで払拭してくれるんです」

シングルになれる人の生活習慣。

『シングルになれる人の生活習慣』
梅本晃一
●新書判・並製・本文200頁
●900円(税込)
●ゴルフダイジェスト社刊

「それじゃ、≪ボールを打たなくても上手くなる方法≫なんてあるの?」
「え!」
「なに驚いてるんだよ。ないの?」
「ありますよ!」

 後輩は強い口調で言い返すと、解説してくれた。
 それによると、ボールを打たずに上手くなる方法はいくらでもあるが、そのメインになる練習は≪バットスウィング≫だという。

 なるべく重いバットを用意したら、ゴルフのグリップで握り、最後までしっかり振り切る。

 意識することは、――左足を踏み込むポイント(左足とボールとの距離)、スクェア感覚、左ひじのリラックス感、股関節で体重を受け止める感覚、振り切る感覚――など。

 また、フィニッシュはフラつかずに、バランスよくとることが大事で、――トスしてもらったボール(スポンジのボールでも構わない)――を打つと、より効果的だそうだ。

 練習量の目安は、――30球を3〜5セット。これを2日に1回くらい――の割合で続けていると――リズム、バランス、パワー――を向上させることができるらしい。

 本書にはその他にも、ボールを打たずに上達する練習法として、長い棒を振るドリルや20秒スウィングなどが紹介されているようだ。

「いいドリルがいっぱいあるじゃないか。なんでさっきは、え! なんて驚いたんだよ。おかしな奴だな。それじゃ、今度その本貸してくれよ」

新世紀フェアウェイウッド論

『新世紀フェアウェイウッド論』
藤田寛之
●A5判・並製・本文178頁
●1575円(税込)
●池田書店刊

 なにやら口ごもっている後輩に構わず、俺は電話を切った。

 数日後、この間の後輩からまた電話がかかってきた。今回も
「いいレッスン書が見つかりました!」
 とはしゃいでいる。

 はいはい。どうせだったら、昨日練習場で会ったときに『芯に当たっちゃうゴルフ』と一緒に持ってきてくれたらよかったのに。面倒だと思いつつ、後輩に聞いた。
「で、今度はどんな本だい?」

「え? あ、『シングルになれる人の生活習慣』ってタイトルで、ゴルフが上達する頭のつくり方がわかります」

「頭のつくり方?」
≪ゴルフメモ≫といって、開眼したことを後々のラウンドに忘れず、生かしていくための記録方法を教えてくれているんです」
「いいね。ちょうど俺、そういう本探してたんだ」

「……はい。それと、『新世紀フェアウェイウッド論』も参考になると思いますよ。こちらは、藤田寛之プロが、フェアウェイウッドをフル活用するコツを、スウィングからセッティングまで解説してくれているんです」

「じゃあ、次の日曜日の夕方に、また練習行かないか? そのときに二冊持ってきてくれよ」
「……了解です」

  * * *

 電話を切った僕は、ため息をついた。やっぱり≪先輩≫は忘れていた。

 一緒に練習へ行くたびに、「ゴルフが上達する頭のつくり方がわかったらなあ、フェアウェイウッドをもっと活用できたら、俺はもっとスコアが伸びると思うんだけど……何かいい本知らないか?」と僕に相談してくる。

 その度に僕は、その希望に叶える本を探して電話してあげるんだけど、いつだって先輩は覚えていないんだ。

『芯に当たっちゃうゴルフ』を貸すときなんて、≪パッティングのスタンスはどれくらいがいいのか≫知りたいっていうから探してきたのに、コロッと忘れて「ボールを打たなくても上手くなる方法なんてあるの?」なんて別の質問してくるんだから、思わず言葉につまっちゃったよ。

 次に練習場であうときも、きっとまたその場で思いついたことを口にして、本を探せって言ってくるんだろうな。僕は憂鬱になった。

 先輩のスコアが停滞している一番の原因は、きっと、その時々にしか悩まず、さらに何かを発見しても、次の発見があると、前の発見を忘れちゃうからに違いない。


 

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