ゴルフの図書館
BOOKS 19番ホール
2007.1・19

走馬灯のようにスウィングが


『陳清波・ゴルフの芯!』


「あちゃ〜、つまった!」
 正月休みも練習場へせっせと通い、フルショットでスカッと飛ばしたい日も、辛抱強くクォータースウィングで理想の形を身につけてきたというのに、今年初のラウンドはティショットがうまくいかない。練習の成果で平均飛距離が20ヤードは伸びたと思っていたが、おかしいなあ。時間を巻き戻して、自分のスウィングのどこが悪いのかを確認したい。ため息をつきながらセカンド地点へ向かおうとした瞬間、「フォアー!」と叫び声がした。反射的に声の方を向くと、目の前にボールがあった。
(ダメだ! ぶつかる!!)
 声に出すよりも早く、心の内で叫んだ。


『ゴルフの芯!』

陳清波
●B6判・並製・本文192頁
●1575円(税込)
●ゴルフダイジェスト社刊




 事故に遭う瞬間、走馬灯のように過去の記憶が流れるとよく聞く。僕の場合は、なんと、さっきのティショットでのスウィングが、頭の中に流れた。それも、ひどくスローモーションに。

 ちょうど気になっていたので、じっくり眺める。
 大事な確認事項は、右ひじだ。

 陳清波プロの『ゴルフの芯!』によると、右ひじが安定していれば、ボールをしっかりと叩くことができるそうだ。――シボリすぎず、浮かせすぎず。トップオブスウィングでは右ひじが左腕より下に位置している状態が必要――だという。

 なぜなら、ボールをしっかり叩くためには――両腕と肩の三角形を保ちながら、上体を右に90度向けたときから手首のコッキングのスピードを上げて、トップオブスウィングまで持って――いかなければならないが、そのとき右ひじが上がっているとスピードが上がらなくなるからだ。

 理想のトップをつくるには、――コッキングのスピードを上げ始めたときには、右ひじはその位置で止まって――いなければならない。

 ――そしてダウンスウィングではそのときの右ひじの位置を保つ意識でクラブを――振り下ろす。その動きを実現させるためには、――ダウンスウィングでは右手を体から離すように下ろしなさい――と陳プロは教えている。

 脇は締めろと言われるがちだが――右わきを意識的に締めようとすると、右ひじを絞って右ひじをわき腹にくっつけるように――使うため、――腕が縮まり、それがいろいろなミスの原因になる――からだ。

 しかし、『ゴルフの芯!』を読むまで、僕は右ひじを絞ることを強く、強く、それはもう本当に強く意識していた。それだけに、スウィング修正には相当苦労したが、地道な練習と、携帯電話で友人と妻が僕のスウィングムービーを再三に渡って録ってくれたおかげで、最近ようやく完成したのだ。

心の強いゴルファーをつくる!

『心の強いゴルファーをつくる!』
宮里優
●B6判・並製・本文199頁
●1470円(税込)
●ゴルフダイジェスト社刊

 また――右ひじを絞らないとか、右手を体から離すとは、右腕を伸ばすように使うことと考えても――いいと陳プロは言っているが、宮里優プロも『心の強いゴルファーをつくる』の中で、芯を食いやすいスウィングをつくるためには――インパクトでクラブが下りてくるときに、右腕がきちんと伸びてアドレスの状態に戻れているか、というのがポイント――だと言っている。

 右腕を伸ばすことは尊敬する二人のプロの意見であるため、僕は必死に練習し、ようやく身につけることができた……と思っていたのに、今日はティショットがいまいちだ。不調の原因は何なのだろう。

 いまだ頭の中に走馬灯のように流れつづけている自分のスウィングを、僕は改めてよく見直した。ひじの位置は安定していて、インパクトで右腕がアドレスどおりに伸びている。

 ところが、そうか、コックが甘かった。

 陳プロ――ただし、あまり右ひじを伸ばすことや体から離すことを意識しすぎると、コックしていた手首が早い段階で伸びてしまうことが――あり、――そうなると大変です――。

 宮里プロ――(右腕を伸ばすといっても)右ひじを体に引き寄せながらコックは解かず我慢する状態ができていることが絶対条件――。

 とよくよく注意されていたのに、右腕を伸ばすことに夢中になって、コックが甘くなっていた。

(あ〜あ。また練習をイチからやり直しだ)
 がっくりしながらも、原因が発覚したことに僕は安著した。と同時に、目の前が真っ暗になった。

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おーい! おーい!

 どれくらい時間が経っただろう。はるかかなたから、ぼんやり、そして徐々に鮮明に声が聞こえてきた。目を開くと、たくさんの顔が並んでいる。今日、一緒にゴルフをしている仲間たちだ。

「な、なんだ、ぼ、僕は一体?」
 訳がわからずにあたふたと起き上がると、仲間の一人が「いいから横になってろ」と僕をベッドへ押し戻した。仲間の話によると、僕は5ホールでティショットを打った後に、隣りのホールから飛びこんできたボールに当たって倒れたらしい。

 ふうん。そうだ、今日はティショットがミスだらけだったんだ。散々練習していただけに、僕は納得いかず、たしかため息をつきながらセカンド地点に向かおうとしていたんだ。

 そのとき、フォアーという声が聞こえ、声の方へ顔を向けて、倒れた。……あれ? 何かその一瞬の間にひらめきがあったような。「そうだったのか!」と謎解きをした爽快感に包まれたような記憶もある。しかし、そのひらめきとは何だったのか、ボールに当たったショックのためか、まったく覚えていない。


 

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