ゴルフの図書館
BOOKS 19番ホール
2006.12.15

雑念


『シングルになれる人の生活習慣』


 長いパー5のセカンドショット地点で、僕は思案した。飛ばすべきか、刻むべきか。たいていの場合、ティショットに続き、セカンドショットでも出来る限り遠くへ飛ばそうとして失敗する。だから今回こそ刻もうと思うのだが、遠く待ち構えているグリーンを目にすると、やっぱり飛ばしたくなってしまうのだ。
 前に失敗したのは、レイアウトが難しかったからだとか、天候が悪かったせいだとか、いろいろと言い訳が出てきて、それに比べて、今日は気候に恵まれているし、セカンドショットもフェアウェイのいい位置から打てるし、さらに障害物も気にならない、つまり飛ばしに絶好の条件じゃないか、と自分自身で飛ばせ飛ばせと誘惑してしまう。
 そんなときは、好条件でも飛距離にこだわり失敗したことなどすっかり失念しているのだ。
「おい、いいかげん打てよ」
 悩んでいたら、仲間にせきたてられてしまった。


『シングルになれる人の生活習慣』

梅本晃一
●新書判・並製・本文200頁
●900円(税込)
●ゴルフダイジェスト社刊




 僕はどうにも、優柔不断、雑念が多くていけない。

 慌てて打とうとした拍子に、『シングルになれる人の生活習慣』に書かれていたことを思い出した。いいアイデアは相当に悩んだ挙句、行動を起こそうとする一瞬の間に出てくる。

 本には≪長めのパー5(550ヤード)のゲームプラン≫とあり、次のように解説されていた。

――よくいわれることですが、550ヤードの距離を、「4オンでOK」と考え、4つに分割して考える気持ちがあれば、ゴルフは今までより楽に、やさしくなるのです――。――≪550Y→200Y+150Y+150Y+50Y≫例えばこのような距離の4分割を、ティグラウンドで思いつく余裕が持てるようにしたいもの。そうすればスコアも格段に良くなっているはずです――。

 続けて、――これら4つの距離は、コースの形状によりフレキシブルに変えていく必要があります――といい、「フレキシブルに変えていく」方法が解説されていた。

 そこで僕は、やっぱり刻もう、と思い直し、握っていたスプーンを捨て、脇に置いていた7番ウッドを握りしめた。

「おい! 早くしろって!」
 さらに仲間に叫ばれ、慌てて打ったら、ボールは「ぎゃ!」と悲鳴をあげたほど、右へ大きく曲がった。深いラフに入ったが、しかしもし3番で打っていれば間違いなくOBだ。クラブ選択はあっていた。

ゴルフはクラブで上手くなる!

『ゴルフはクラブで上手くなる!』
松尾好員
●B6判・並製・本文192頁
●1470円(税込)
●ゴルフダイジェスト社刊

 この成功が原因というわけではないが、僕は3Wをセッティングから抜こうかどうか迷っている。

『ゴルフはクラブで上手くなる!』に、「ドライバーの次は3Wがいいとは限らない」とあったからだ。

 解説をしているクラブデザイナー松尾好員氏によれば、≪番手間ロフトは4度間隔が基本≫で、――飛距離を落として距離を合わせる――ようにする。

 しかしアベレージゴルファーによく見られるのは、――リアルロフト12〜13・5度のドライバーで、次が15度の3W、18度の5W、21度の7W――というセッティングで、――番手間の飛距離の差が少ない――。

 そうなるとクラブ選択に迷いが生じやすく、その分、スコアメークしにくくなる。

 それを知った僕は、本書でさらに詳しく解説されているウッドとアイアンのマッチングを参考にして、思い切ったセッティング変更を、いま企てているのだ。

 おっとまた余計なことを考えてしまった。頭の中があちらこちらに傾いてしまうのは、僕の本当に悪いくせだ。

 だからメンタル本など読み出したら大変なことになる。

『1日5分でシングルになる! ゴルフメンタル』はとてもいい本で、紹介されているメンタルテクニックを、毎日1日5分トレーニングしていれば、2カ月半後には、常に自信に満ちたプレーをできるようになるという内容だ。

 しかし僕はこの通り、もとの集中力が欠如しているから、5分でできるトレーニングに15分や20分を費やしてしまい、長続きしなかった。トレーニングに集中するまでが大変なのだ。

 ところが同じ本を読んだ知人は「そりゃお前、集中力うんぬんじゃなく、やる気がないから続かないんだろう。俺も集中力はない方だが、この本の内容はやさしいから、毎日苦なくトレーニングできているよ」という。

 そこで「いや、やる気はあるんだ」と反論したが、知人の耳にその声は届かず、「トレーニングのかいあって、この間のゴルフ、ついに90を切れたんだ」と大威張りで知人は自慢話を始めたのだった。

1日5分でシングルになる! ゴルフメンタル

『1日5分でシングルになる! ゴルフメンタル』
児玉光雄
●新書変型判・並製・本文160頁
●893円(税込)
●池田書店刊

 ――リリリーン、リリリーン
 ケータイの着信音が僕を回想から現実へと引き戻した。

「もしもし」
「ああ、俺。どう? コース決まった?」
 かけてきたのは、自慢話をした知人だった。

 コース? ……? はっ!
「ちょ、ちょうどいま、決めているところだよ」
「そっか。じゃあ決まったら連絡くれよ」

 電話は切れた。今度こそ、我に返った。いま、僕は来週プレーするコースを自宅で選んでいる最中だったのだ。

 ゴルフ場のホームページをあれこれ見ているうちに、「長いパー5の名物ホールは」というコース紹介の記事を読み、そういえばこの間のゴルフでは、長いパー5でクラブ選択に迷い……と頭の中が回想へ移ってしまったのだった。

 僕ってやつは、まったく。そういえば、この前のコースを決めたのも僕だったが、何が決めてでそこにしたんだっけ。たしかあのときは……。


 

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