考えた結果、私は彼がトイレへ立った隙に、彼の席へある一冊の本を置いた。
『心の強いゴルファーをつくる!』だ。これは宮里藍プロの父親である、宮里優プロのレッスン書で、
内容を少し紹介すると、──自分の短所を補うような練習メニューを組み立てる──ことが大切で、──好き嫌いで練習の内容を決める──のでは進歩がなく、──きちんと現実に即したメニューを組み立て──なくてはいけない。
それは当然のことだが、週に一回しかボールを打てないとなると、ついついドライバーで思いっきりボールを遠くへ飛ばし、気分をスカッとさせたくなってしまう。会社や家庭でストレスをため、さらにゴルフでも、うまくいかないことを辛抱強くやるとなると、正直つらい……っとと、愚痴になってしまった。
私のことはどうでもいいんだ。いま大事なのは青年だが、彼もまた、練習の大半をドライバーに費やしている。
対して──練習しないとてきめんに悪くなるのがショートゲーム──。──プロでも何日かクラブを握らないとチャックリ、ということがある──らしい。
理想は、≪1回の練習量のうち5割は基本の30ヤードに時間を割く≫ことだ。さらに、──スウィングのフィーリングを毎回途切れることなく継続──させるには、≪週に3回の練習≫が必要だとある。
練習場へ行くのが無理ならば、素振りだけでも構わないし、素振りをする場所がないというのなら、
この本を彼の席に残し、私は練習場を出た。そして帰りがてら本屋に寄ると、『新・モダンゴルフ』といういい本を見つけた。 この本は江連忠プロの理論を漫画でやさしく解説しているが、私が注目したのは、第3巻にある≪教える手順≫だ。
私は青年がスウィング中に頭を動かしすぎることが気になっていて、どう注意するべきか考えていた。しかし江連プロによれば、──悪い動きを指南するのは誰にでもできる──。ところが、──「頭を動かすな」って
だから、悪い動きをしている部分を直接直そうとするのではなく、── ちなみに、頭の動きすぎを直すには、まずアドレスを正さなければいけないらしい。アドレスでの注意ポイントと、それを修正するためのドリルが紹介されている。 よし、次回はこのページに付箋をつけて、また密かに、彼の席へ置いておこう。私はその本を購入した。
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なぜ僕がおっさんを気にしているかといえば、おっさんはまったく辛抱がなく、進歩のない人なのだ。 あれじゃ10年経っても、スコアは変わらないだろう。見るに見かねた僕は、ある日、二冊の本を彼がトイレへ立った隙に、彼の席へ置くことにした。『心の強いゴルファーをつくる!』と『新モダンゴルフ』だ。この二冊は、僕が偶然手にした本で、それこそ僕が練習場でトイレへ立ち、戻ってきたら席へ置かれていた。
誰が本を置いていったのかは知らないが、その人にとても感謝している。この二冊によって、僕は練習の質をあげることができ、停滞していたスコアを伸ばすことができた。 |
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