気を取り直してセカンドショット。
『伊沢利光の結論[アプローチ&パター]』には深いラフのポイントが3点あげられている。
≪1≫体重配分は左足7:右足3の割合で構える
≪1≫≪2≫は、芝の抵抗に負けないように、鋭角軌道でインパクトするための方法だ。
そして≪3≫の落とし場所は――フェアウェイからの時よりも手前に設定――する。なぜなら、――深いラフからのショットはスピンがかから――ないため、――フェアウェイから打つ時と同じ地点にキャリーを設定すると、ボールは必ずオーバーして――しまうからだ。
≪2≫と≪3≫はいいとして、俺の場合、体重配分をうまくできるかが問題だ。ティショットで失敗したばかりとあって、うぅ〜緊張する。
……
俺はことごとくプレッシャーに弱い。今回もあえなく失敗してしまった。と思っていたら、やっぱりきたよ。
A君「インパクトがちょっと弱かったんじゃない? 深いラフは鋭角に打った方がいいんだよ」
くやしいので、おかえししてやることにした。A君はティショットでうまく花道に運んだが、このホールの花道は、彼の苦手な急な左足下がりの斜面だ。 『秀道流GOLF』には、このような状況のときは――ボールを右足前に置いて、ピンまで転がしていくのが最適――だと書かれている。 くわしくいうと――アドレスで転がす体勢をつくり、フォローでクラブヘッドを低く出す。左足下がりなのでロフト角が立つため、ランが多く出ることも計算に――入れるのだ。さあて、A君はその通りに打てるだろうか。 ……
くっくっく、失敗した。グリーンにいったんは乗ったものの、ボールは反対岸に転がり落ちてしまったのだ。言ってやろう。
言われたA君は、瞬時に顔が真っ赤になった。
その言葉に俺はカチン! ときた。
「まあまあ」 「ゴルフは楽しくやろうよ。それに、二人とも自分たちのことばかりに夢中になっているけど、ちょっと足元を見てくれ」 俺とA君は同時に、視線を地面へ落とした。ボールが2/3以上、土の中に埋まっている。
「どうしたんだ? このボール」
「君たち、言い争いにあまりに夢中になりすぎて、僕のボールを何度も踏みつけ、あげく土にめりこませたんだよ」 「君たちは何もわかってない! ベタ足だ、フォローがなんだって、こまかいことばかりちまちま考えすぎなんだよ! そんなに高いレベルに達してないだろう! もっと全体像に目を配れ! 他のプレーヤーのボールがどこに落ちたかくらい把握しろよ! どっちの方が上手いかだって? そんなのは100を切ってから言え!」
俺とA君はC君の剣幕にあっけにとられながらも、同時に頭をさげてつぶやいた。 |
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