「『ゴルフの大事』ね。最近亡くなってこっちに来たゴルファーたちが、生きている間に読んで面白かったって騒いでましたよ。早くこっちにも回ってくるといいんだけど。死んだときに遺族が棺に入れてくれないことには、こっちまで届かないからね。ところで、それってどなたの本でしたっけ?」
「中部銀次郎と三好徹の対談形式なんです」
「たとえば?」
「僕(中部銀次郎)のクラブ選びはそりゃシンプルですよ。ドライバーなら──ロフトが多くて薄めのヘッド──。パワーがないですから、楽に上がって曲がらないことが選択の基準なんです」
「ええ。でも一般アマチュアだったら、ウッドは4番1本だけでもいいと思っています。──距離的には、ほとんどドライバーと大差ないんですよ、一般アマチュアなら──。でも、欲があるでしょう? わずかでも飛距離を出したい欲がありますから、4番1本にしぼれる人はそういませんね」
「最高飛距離っていうのは、たいていの人がランも入れた距離をいってますからね」
「いやぁ銀さん、あんたはやっぱりいいこと言いますね」
「まあ、仕事でしたから。『ゴルフへの恋文』(夏坂健著)にもね、いい言葉をたくさん書いたつもりです。たとえばヘンリー・オーバル卿という人がいて、この人は言ってみれば≪ゴルフの申し子≫だったんですよ」
「ゴルフの申し子?」
「ええ。──1850年に出版された自伝『私版紳士録』によると、1886年に誕生した場所がゴルフの聖地セントアンドリュースだった。その後、まるで全英オープンの開拓地を選ぶかのようにプレストウィック、ミュアフィールドと転居して、中年から構えた別荘がウィンブルドン公営コースの隣接地──だったそうです」
「本当に? いや、凄いな」
「好きも好き、大好きですよ。卿は毎日正午になると、家からコースへ出発したそうですが、その習慣は一日も欠かしたことがなく、時間も狂うことがなかった。だから市民は、卿のコース通いで正午を知ることが出来たとまで言っているんです」 「そんな彼ですから、ゴルフの本質がよくわかってたんだなあ。──なぜ、ゴルフは面白いのか? なぜ、ゴルフは難しいのか──その答えを、彼なりに考えて、先の自伝に書いているですよ。それは、──二度と同じ場所から打てないから──」
「ほう! たしかに一日だって同じ条件はないよね。気候も変わる、芝も変わる、心理も変わる、コースは変化し続けている」
「さすが夏さん。いい言葉を探すねえ」
──「お二人さんのいう通り、子供にゴルフを教えるときも、そういう感性を伝えることを大切にしたいですね」
【アーさん】
【夏さん】
【アーさん】
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「そしたら、あの三人はゴルファー同士だってことに気づいてから、ああやって≪モノマネ≫に懲り出したんだよ」 |
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