「『マンネリゴルフじゃ上手くなれん!』(ゴルフダイジェスト社刊)? これがどうしたんですか?」
「君もせっかちだね。熟考するクセをつければ、デザインももっとよくなるはずなのに。まあ、それはいいとして。アドレスの正しい前傾角度を、本を立ち読みする姿勢から覚えることができるんだよ」
「でね、こうやって、本なりパンフレットなりを両手で開いて持つだろ。そしたら――目と本の距離(位置関係)を変えないで前傾して――いくんだ。これで――ドライバーの前傾角度を知りたいならば、目と本を結ぶラインの延長線状がボールを指すまで上体を前傾させればいい――というわけだ。ポイントは――腰から前傾する――ことだね」
「他にはどんな練習があるんです?」
「結構です。部長はそうやってゴルフのことを頭に入れたままチェックするから、私のデザインがいまいちに見えてしまうんです。もっと集中してくださいよ。この色使いはもともと先方からの……」
《午後1時》
「ば、ばかもん。これはゴルフだけに限らず、集中力をつける練習だよ。昼飯食った後のぼけた頭のままでは仕事にならんだろ。ゴルフじゃなくて、仕事熱心なんだよ」 「まあ、その前に聞きなさい。これは『1日5分でシングルになる! ゴルフメンタル』(池田書店刊)を参考にしているんだ。ゴルフボールの上に、もう1個のゴルフボールを重ねるんだよ」
「それは少し難しそうですね」
「一カ月ぐらいで飽きてしまうんじゃないですか?」
「そしてそれも素早く出来るようにトレーニングするんですね」
《午後3時》 「うん、まあ、ね。岡本綾子プロの『LESSON!』(ゴルフダイジェスト社刊)なんだけど、アドレスからインパクトにかけてのグリップの力加減を、水の滴るおしぼりを使って練習していたんだよ」 「取引先からお菓子をいただいたので、気をきかせたつもりで、おしぼりと一緒に出したら、まさか、こんなことになるなんて」 「『まさか、こんなこと』なんて大袈裟だな。僕も気を使ったんだよ。おしぼりを君に片付けさせるのも悪いから、給湯室で洗っていたら、つい、ついね、書かれていたレッスンを思い出してしまったんだ。ちなみに、この練習の意図を説明するとね、」
「解説はもういりません。それより床の水をちゃんと拭いておいてください。おしぼり片付けるより、床拭きさせられる方が迷惑ですよ」
《午後6時》 「いいや、飲み屋さ。ゴルフはコースや練習場だけがトレーニングの場ではない。会社しかり(ただし業務に差し支えのない程度)、家庭しかり(ただし家庭内に自分の居場所をなくさない程度)、また飲み屋で仲間と談笑する時間も大切なんだ。他人に前回ラウンドした時のミスや成功の話をすることで、自分のプレーを客観的に見られたりもするからね。もちろん、話した相手からの意見ももらえるし、スコアアップするヒントを得られるんだ」
「(ぼそっ……おしぼりで床を濡らしていた人が、まあ!)。部長、口だけじゃなく、スキルも磨かいてくださいね。ゴルフも、仕事も」 |
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